10月8日に院長はコロナウイルス（covid19)のPCR検査、抗体検査を受けましたが、ともに陰性でした。
つまりその時点ではコロナに感染している可能性は低い、過去に（症状がないまま）いつのまにか感染していた可能性もほとんどない、と言う結果でした。

PCR検査とは
　ウイルスの遺伝子（DNA)を増幅させて検出する方法です。つまりウイルスそのものの存在を直接判定するため、陽性であればほぼ感染していると診断されます。ウイルス量がごく少量でも陽性になるので、症状が出る前（無症状でも）診断できることがあります。一方、治った後でもウイルスの残骸が残っているといつまでも陽性と判定されることがあります。　　もちろん100%ではありませんが、もっとも正確な検査です。

抗原検査とは
　最近、抗原検査、というのもニュースでよくでてくると思います。この検査は、ウイルスの抗原を検出する検査です。
　コロナウイルスの抗原検査というときの抗原とはウイルス表面のタンパク質の一部です（つまりウイルスに体の一部）。これが陽性であればウイルスがいる（つまりは感染している）と診断されます。
　どうやって抗原を検出するかというと、コロナウイルスに感染すると抗体が産生されます。コロナの抗体はロナ抗原（コロナウイルスの体の表面のタンパク）とだけ強力にくっつきます。そうしてコロナウイルスを破壊します。うまく破壊できれば治ることになります。この抗体は検査試薬としてとっておけます。綿棒でのどや鼻の粘膜、または唾液をあつめて、それに抗体を反応させます。これにちょっとした工夫（抗原に抗体が着くと発色する）しておき、発色すれば陽性と判定します。
　陽性とは抗原と抗体が着いたつまり抗原が存在する（ウイルスが存在する）とうことです。
　抗原検査はウイルスの量が少ないと陽性になりません。
　たとえば、通常クリニックでインフルエンザの検査というとこの抗原検査のことですが、よく「熱がでてからすぐでは検査しません」といわれることがあると思います。これは半日～１日たたないとウイルスの量がすくないため検査しても陽性にならないことがある、と言うことです。
　コロナの場合は、発熱後2日目から９日以内であれば、PCR検査とほぼ変わらないといわれています。
　逆に言うと発熱後すぐでは不正確、ましてや発症前に検査するのは意味がありません。

抗体検査とは
　PCR検査、抗原検査は現在感染しているかを判定する検査です。陽性であれば、現在感染していると診断されます。
　一方、抗体検査はこれまでに感染したことがあるかどうかがわかる検査です。
　コロナに限りません、感染すると抗体がつくられます。この抗体は抗原（ウイルスを構成するタンパク質）にくっついてウイルスを破壊します。つまり感染を制御します。抗体と抗原は一対一で反応します。つまり、コロナ抗体はコロナ抗原と、インフルエンザ抗体はンフルエンザ抗原とのみ反応します。
　感染するとまずIgM抗体が作られます。イルスの種類にもよりますが、数日から１週間くらいで検査で検出されるようになります。IgM抗体の攻撃能力は比較的弱く、早期に検出できなくなります。
　IgM抗体のあと少し遅れてIgG抗体が作られてきます。IgG抗体の攻撃力は大変強く、長期間残って感染防御の役割をします。ウイルスにもよりますが、IgG抗体は数か月から数年（数十年、あるいは一生）残っています。
　したがってIgM抗体が陽性であればごく最近感染したとの証拠になります。
　IgGが陽性であったときにはかなり前（数週間から数ヶ月、ウイルスによっては数年前）に感染していたとの証拠になります。
　なお、充分強力なIgG抗体が残っていれば、感染しても症状が出る前にウイルスを破壊排除してしまい、結果として発症しない、あるいはごく軽くすむことになります。
　予防接種は感染せずに抗体産生を誘導させるのです。ワクチンによってどれだけ有効な抗体がつくられるのか、つくられてもそれがどれだけ維持できるか。さらにインフルエンザのようにウイルスが変化してしまい（抗原変異）、ワクチンでつくられた抗体が効かなくなってしまうこともあります。そのような場合には、毎年、あるいは半年でワクチンの接種を繰り返す必要になることも考えられます。

　あべこどもクリニックの職員は全員IgG抗体陰性でした。つまり、無症状でいつのまにかコロに感染していた、ということはないとの判定になります。
　今後、当職員は発熱などの症状があれば早めにPCRあるいは抗原検査をして、感染源とならないようにしていきたいと思っています。

　一日でも早く、有効で副作用の少ないコロナウイルスワクチンができることを祈らずにはいられません。